カスタマー・エクスペリエンスの考え方で大成功を収めるには

March 27, 2019 Atsushi Iwasaki

本ブログは LIA PARISYAN が寄稿した記事を抄訳したものです。
原文「 How to Win Big by Adopting a Customer Experience Mindset 」はこちらからご覧いただけます。

今日の顧客が抱いている期待は、従来よりもはるかに高くなっています。世界中のスマートフォンユーザーは25億人¹を超えてさらに増え続けており、顧客はこれまで手に入らなかった知識を持ち、自分で購入を決定できる判断力を身に付けています。


人とブランドとの関わり方がスマートフォンによって変わりつつあるのです。

カスタマーレビュー、価格比較ツール、ソーシャルメディアでの口コミによるおすすめ情報、店舗内およびオンラインでのさまざまな支払方法によって、顧客の期待はすっかり様変わりしました。その結果、小売業者はビジネスモデルを見直し、カスタマー・エクスペリエンス中心の考え方をする必要に迫られています。まず、カスタマー・エクスペリエンスとは何なのかを調べるところから始まります。


カスタマー・エクスペリエンスの考え方とは

  • 人を重視している
  • すばらしいカスタマーサービスを提供する意欲を従業員に起こさせる
  • 機械的な手順や状況別の準備のさらに上を行っている
  • サービスを提供し絶えず改善しようという意欲が根付いた文化を築く
  • ITシステムと文化を整合させる

カスタマー エクスペリエンス(CX)中心の考え方では、戦略がテクノロジーを推進します。テクノロジーはいろいろなことを可能にしますが、それを顧客に提供するのは人(従業員)であって、その逆ではありません。³


あるビジネスのことを考え、自問してみてください。
なぜ、何度も同じ間違いを繰り返しているのかと。

カスタマー・エクスペリエンス。適切なカスタマー・エクスペリエンス(CX)を提供している企業は、顧客が望むものを望むときに望む場所で提供する必要があることがわかっています。

なぜでしょうか?顧客は、関連性が高く意味のあるエクスペリエンスをあらゆるタッチポイントで求め、また期待するからです。ITプラットフォームがあれば、このような期待に応えることはできますが、それを顧客に提供するのは従業員なのです。

テクノロジーと文化をつなぐ
世界で最も効率的なテクノロジーシステムを手に入れることはできますが、組織の文化がそれらをサポートしていなければ、ブランドロイヤルティを生み出すすばらしいカスタマー・エクスペリエンス(CX)を提供する重要な機会を逃すことになります。

カスタマー・エクスペリエンスをしっかり把握している3つのブランド

すばらしいカスタマー・エクスペリエンスを提供する必要性は、今やほとんどの企業が認識していますが、その方法については、どの企業も必ずしもはっきりとわかっているわけではありませんし、何をもってすばらしいカスタマー・エクスペリエンスと見なすかさえ不確かな状況です。
難しい話を簡単にするために、カスタマー・エクスペリエンスの変遷を乗り切り、次世代の小売テクノロジーおよび「人」重視のイノベーションに向けて現在着々と準備を進めている選りすぐりの小売業者を紹介しましょう。


ブランド#1: セフォラ(SEPHORA)

セフォラは、1970年にドミニク・マンドノーによってフランスで設立された美容品小売業者です。このブランドは、吟味された伝統的ブランドと新生ブランドの取り揃えのほか、独自の主力化粧品コレクションで知られています。

セフォラの米国1号店は、1998年にニューヨークの最もおしゃれな地区であるソーホーで開店しました。1999年にセフォラはデジタル化に踏みきり、現在は、デスクトップ、モバイル、ソーシャルで画期的なコンテンツを生み出し続けています。

セフォラが押さえているポイント:
デジタルを優先する ― 店舗内テクノロジーの統合から使いやすいモバイルアプリの作成まで、セフォラはエクスペリエンスの向上を可能にするテクノロジーを使用しています。しかし、これも結局のところ、顧客が期待する、適切で意味のある一貫したエクスペリエンスを提供することが、セフォラの文化であることの現れに他なりません。

実店舗を改善する ― セフォラは、顧客が抱えている問題を解決するのに拡張現実感(AR)などのオフラインエクスペリエンスおよびテクノロジーが重要であることを認識しています。

たとえば、顧客は、特定のアイシャドウ、口紅、ファンデーションを実際に肌につけてテストしなくても、どう見えるかをARを使用して確かめることができます。家の外では、化粧落とし、コットンパフ、時間のかかる肌洗浄を省略できるのです。

パーソナライズして、パーソナライズして、パーソナライズする。セフォラのサイトで閲覧や買い物をする客には、顧客プロファイルや閲覧履歴に基づいてパーソナライズされた、商品やサービスのおすすめ情報が表示されます。顧客は、関連情報や関心のある他の商品をすぐに調べることができるので、関連購入の可能性が高くなります。
顧客ロイヤルティプログラム ― この大手化粧品小売業者は、報奨制度の重要性もわかっています。セフォラの「美容インサイダー」は、買い物でポイントがたまるほか、美容セミナー、各種サービス、オンラインコミュニティをVIP待遇で利用できます。

セフォラは、デジタルエクスペリエンスを店舗内に導入しつつ、適切で意味のある先進的なオンラインコンテンツを作成することで、実店舗とオンライン店舗のギャップを埋めようとしています。セフォラにはわかっているのです。テクノロジーは自社のすばらしい可能性を形にする手助けをしてくれますが、それを顧客に提供できるかどうかは企業文化にかかっているのだと。


ブランド#2: ノードストローム(Nordstrom)

ノードストロームは、スウェーデン人移民のジョン・W・ノードストロームとシアトルの靴職人だったカール・F・ヴァリンが設立しました。ノードストローム(当時はヴァリン&ノードストローム)の1号店は、1901年にシアトルのFourth and Pikeに開店しました。事業は成長し、パートナーがシアトルのユニバーシティ地区に2号店を開店しました。

ノードストロームの差別化要因は何でしょうか。それは、最高のサービスと価値を顧客に提供するという明確な使命を持っていることです。この理念が1960年までに大きな利益をもたらし、ノードストロームは米国最大の靴屋になりました。

この成功からインスピレーションを得て、同社は、1963年に「ベスト・アパレル」を買収した際に、婦人服市場への進出を決定しました。1971年に株式を公開すると、紳士服および子供服市場にも手を広げ、社名をノードストロームに変更しました。

1973年以降、ノードストロームは全米に事業を広げ、1998年にはWebサイトを開設しました。

2009年になると、ノードストロームは在庫管理およびフルフィルメントシステムを立ち上げて、店舗内とオンラインで違和感のないエクスペリエンスを提供し、伝説的なカスタマーサービスの評判どおりの事業を展開しています。

ノードストロームが押さえているポイント:
従業員が創造的なアクションを取れるようにする ― ノードストロームでは、同社のブランドと価値に沿った方法で従業員が創造的に問題を解決できるようにしています。起こり得る事態を想定したあらゆるシナリオに対応できる準備を従業員にさせるのではなく、ブランドプロミス(顧客に対するブランドの約束)に基づいて行動することを従業員に奨励しているのです。

なぜでしょうか?ノードストロームでは、顧客に価値を提供するというブランドプロミスを体現する強固な職場文化を築いてきた(そして今もそうし続けている)ので、マイクロマネージメント(細部まで規定する管理法)を省くことができました。

ハイテク対応からハイパー競争へ ― デジタルのカスタマー・エクスペリエンス(Webサイトおよびモバイル)は、ノードストローム店舗内のショッピングエクスペリエンスに準じています。店舗内では、個別接客などもあり、高級な雰囲気の中で商品に触れ試着することができます。
これらの要因が相まって、顧客が実店舗にいようと、Webサイト、ソーシャルメディア、モバイルアプリで買い物をしていようと、ブランドへのつながりと関わりをより強く感じることができる一体感のあるエクスペリエンスが生まれます。

セルフサービスのイノベーション ― ノードストロームの最も新しいマンハッタン店には、セルフサービスの返却箱が用意されており、オンラインで購入した商品にも利用できます。顧客は、実物サイズのアバターで服の外見を確認することもできます。顧客は、試着してみたい服を予約でき、任意のノードストローム店舗で試着室の用意をしてもらうことができますが、これは、ノードストロームにおけるテクノロジーと企業文化のつながりを示す例になります。顧客は、商品の棚をくまなく探して、自分のサイズのラベルを見つける必要はありません。²
ただ店舗に出向くだけです。


ブランド#3: トレーダー・ジョー(Trader Joe's)

トレーダー・ジョーは、1958年に「プロント・マーケット」として創業されました。社名は1967年に、大きな価値(言い換えれば、すばらしい商品、お得な価格、大きな節約)という同社の新しいブランドプロミスと刷新された独自性に合わせて、改称されました。
それをどのように実現しているのでしょうか。トレーダー・ジョーでは、できるだけ仲買人を介さずに、ほとんどの供給業者から直接大量に商品を買い付けているので、顧客の購入価格は下がります。

トレーダー・ジョーが押さえているポイント:

ほとんどの食品小売業者がeコマースへの取り組みを加速させている時代にあって、トレーダー・ジョーが取っているアプローチはそれとは異なります。つまり、デジタル化を取り入れはしましたが、電子メールマーケティングやソーシャルメディアを使用して、すばらしい店舗内エクスペリエンスをサポート(および拡張)しています。決して、その逆ではありません。

吟味されたコンテンツとスマートなマーチャンダイジング ― トレーダー・ジョーでは、通常特定のテーマに基づいて1~2個の商品を特集したメールを(週1回程度)配信します。顧客がそれらの特集商品に興味を持ち、店舗に出かけたら、それらの特集商品が店内の正面か真ん中など目立つところに配置してあります。商品を試してみたい、購入したいという強い願望が従業員に伝わっており、従業員がそれを理解しているのです。

独自の(そして個々の顧客に合わせた)営業手法 ― トレーダー・ジョーにはモバイルアプリはありません。ダイレクトメールと電子メールマーケティングに頼っているのです。同社のダイレクトメールマーケティング活動(Fearless Flyer)は、電子メールマーケティング活動とつながっています。トレーダー・ジョーは、特に、ホールフーズマーケット、パブリックス、クロガーなどの大手食品小売業者と比べると、店舗内テクノロジーが十分ではありません。ただし、これらの業者とは異なるものを提供しています。それは、並外れたカスタマーサービスです。

パーソナライズされたカスタマーサービス ― トレーダー・ジョーの従業員は、自社のブランドプロミスを熟知しており、要求されている以上のことをこなすことができます。創造的なアクションを取り、どの買い物客にも、カスタマイズして最大限の価値を付加したエクスペリエンスを提供しようと努力するのです。トレーダー・ジョーのカスタマーサービスは、同社のマーケティングファネルおよびブランドストーリーのフローを反映しています。

「規則」を破る ― 顧客はトレーダー・ジョーのWebサイトでは買い物ができません(InstaCartやPostmatesなどのアプリを使用すると、トレーダー・ジョーの商品を注文して配達してもらうことはできます)。ただし、顧客はトレーダー・ジョーにアクセスして、レシピを見つけたり、チラシで特集されていた商品を調べるなど、さまざまなことができます。Webサイトの宣伝文句、声、ブランディングはトレーダー・ジョーの個別化した店舗内エクスペリエンスの延長線上にあるのです。

トレーダー・ジョーには、包括的なソーシャルメディアプレゼンスはありません。多くの場合、地元の店舗が独自にFacebookページを作成しています。さらに、FacebookやInstagramにトレーダー・ジョーのファンページがたくさんあります。


カスタマー エクスペリエンス(CX)戦略が重要な理由


顧客戦略コンサルティング会社thinkJarの設立者兼代表者であるエステバン・コルスキー氏によれば、保証された優れたエクスペリエンスにはもっとお金を払ってもかまわないと思っている顧客は55%に上ります

カスタマー エクスペリエンス戦略の策定は、かつてないほど重要になってきています。スマートフォン、ソーシャルメディア、世界中のあらゆる規模のブランドへのアクセス手段が登場したおかげで、主導権は消費者が握っています。競争に勝ち抜き顧客を維持しようと考えている企業は、顧客が店舗内、オンライン、モバイルのどこからアクセスしてこようと、自社のブランドプロミスに整合したエクスペリエンスを提供できるように、ビジネスモデル、テクノロジー、従業員の考え方を変える必要があります。


カスタマー エクスペリエンス(CX)に関するさらなる知見を得るには

並外れたカスタマー・エクスペリエンスを構築できるようにテクノロジーや従業員を変革する方法について、さらに深い知見をお探しですか。詳しくは、アピリオのリテール業界向けのリソースハブを参照してください。また、お問合せページから「顧客中心」への転換に向けた目標についてご相談ください。

出典:
1 https://www.statista.com/statistics/330695/number-of-smartphone-users-worldwide/
2 http://fortune.com/2018/05/25/nordstrom-fortune-500-tech-amazon/
3 https://www.youtube.com/watch?v=fpuUdUX_ObM


 

戻る
2019年の高等教育にとってのデジタル変革の意味とは
2019年の高等教育にとってのデジタル変革の意味とは

2019年の今日、大学のような高等教育にとってのデジタル変革の意味とは何でしょう。高等教育になぜデジタル変革が必要か、高等教育にとってのデジタル変革の本当の意味、高等教育に対するデジタル変革の効用と要件について語ります。

次へ
小売業は2019年以降こう変わる
小売業は2019年以降こう変わる

小売業の2018年はどうだったでしょうか。そして今年以降はどこに向かうのでしょうか。小売業で2019年に顕著になると思われる傾向をいくつかご紹介しましょう。

アピリオまでお気軽にお問合せください

ご質問はこちら