CRMを成功に導くために(全3回) | 最終回 CRMを成功に導く戦略立案

January 21, 2019 Atsushi Iwasaki


これまでの2回(「第1回 CRMの成功までの4ステップ」「第2回 CRM導入はなぜ失敗するのか」)で、CRMの成功までのステップとなぜそれがうまくいかないのかについてお話ししてきました。では、具体的にどうすれば、第4のステップまでたどり着く事ができるのでしょうか。アピリオの持つCRMヘルスチェックの方法論に即してご紹介します。

最終回は、「CRMを成功に導く戦略立案」です。

第2回 CRM導入はなぜ失敗するのか」で、失敗するCRMプロジェクトには「ビジョン」と「プラン」が欠如している、とお話ししました。CRMの「ビジョン」と「プラン」はどのようにして立案したらよいのでしょう。アピリオの「CRMヘルスチェック」では4つの段階でビジョンとプランを決めてゆきます。


1. スコープ定義

一言でCRMと言っても、その領域は広大です。全領域に一度にリソースをつぎ込むことはできません。まずは、対応すべき領域、スコープの定義を行います。



アピリオでは、CRMのビジョン立案、スコープ定義に”バーチャス・サイクル”を使います。バーチャスサイクルは、企業の成長と収益力の源泉であるワーカー・エクスペリエンスとカスタマー・エクスペリエンスを改善するために、何をすれば良いのかを具体的に把握するための非常に強力なフレームワークです。バーチャスサイクルでは、ワーカー・エクスペリエンスとカスタマー・エクスペリエンスをそれぞれ3つずつの要素に分解し、さらに、それぞれの要素を向上させるための力を4つずつ定義しています。この全部で24の力において、自社の現状はどの程度か、シニアマネジメントから現場の方まで、オンラインサーベイ形式でご回答いただきます。



サーベイの結果を集計したら、アピリオの顧客企業のなかから選ばれた350社以上のグローバル企業データを使ってベンチマーキングします。これで、業界平均、あるいは業界のリーダーからもっとも遅れている分野はどこなのか、優先的に手を打たなくてはならない領域はどこなのか把握し、スコープとします。


2. 評価

スコープが決定したら、関連するCRM要素に対して自社の施策がどの程度成熟しているのか評価します。アピリオではCRMを40の機能要素に分解して定義しています。今回のスコープに関係のある要素を40の機能要素から選び出し、評価軸とします。




各機能要素に対して、現時点での状態を「全くない」から「革新的」までの5段階で評価してゆきます。評価は自己評価形式で行っていただきますが、もちろんアピリオも、客観的な視点で助言いたします。



現状を把握したら、将来、どんな姿になっていたいのかの「ビジョン」(目標地点)の決定です。このビジョンがあいまいなまま導入をスタートさせると、どうなるでしょう。プロジェクトメンバーは、方向性がないままプロジェクトに取り組まなくてはならないので、作業分担が困難になりますし、求められる作業スピードの認識も一致しません。外部のステークホルダーからの意見に対しても、反映すべきなのか、無視すべきなのかも判断できなくなります。ビジョンの策定は、プロジェクト全体の成否においてとても重要です。

目標地点の決め方にもコツがあります。もちろん、全部が「革新的」になれば素晴らしいですが、現実的ではありません。今からの24ヶ月でどこまで到達できるのか、私たちの過去事例も含めて検討し、到達点を決定します。この作業において、アピリオは24ヶ月より先の目標を立てることはおすすめしていません。世の中の変化の速さに対して、2年以上先の到達目標は意味がないと考えるためです。


3. 最適化

到達目標を決めたら、それぞれの機能要素ごとに定義した目標に対してどんなアクションを取らなくてはならないのか、何をどんな風に変えなくてはならないのか、をリストにし、文書化してゆきます。



ポイントは、「X機能を実装する」「Yデータを集約する」といったテクノロジーにまつわるアクションだけでなく、「案件登録ルールを明確にする」「顧客データの重複判断基準を決める」といった業務ルールにまつわるアクションも思いつく限り記載しておくことです。そうすることによって、CRMプロジェクトは単なる技術の導入でない事がプロジェクトメンバー全員に理解されます。そうした業務ルールをしっかり決めておく事が後に「ユーザーの成功」「業務の成功」につながるのです。


4. 展開

展開はリスト化したアクションの優先度判断とスケジュール化の作業です。現実的で実行可能な「プラン」を立てましょう。



アクションを「効果」と「難易度」の2軸で評価します。この例では効果を大、中、小の順に緑、黄、赤に、難易度を簡単、普通、難しいの順に緑、黄、赤に色付けしていますが、複雑になりすぎなければ必要に応じて段階を増やしてもかまいません。効果が大きくて簡単なアクションの優先度を高く、効果が小さくて難しいアクションの優先度を低くします。



最後に、優先順位に応じてフェーズ分けも含めた現実的なロードマップを引きます。「ユーザーの成功」を確実に実現させるために、定着化支援の期間を計画することも忘れてはなりません。定着化支援の期間を利用して、Go-live後の混乱をスムーズに乗り越え、新しいCRMがユーザーに受け入れられるよう手厚くサポートします。

以上、アピリオのCRMヘルスチェックの流れに即して、CRMを成功させるための「ビジョン」と「プラン」の作成アプローチをお話ししました。CRMの成功には「ビジョン」と「プラン」が必要であり、それらの中に、ユーザーの成功、業務の成功に必要な要素をきちんと盛り込むことが重要、ということがご理解いただけたでしょうか。

全3回にわたって、CRMの成功とは何か、なぜCRM導入は失敗するのか、そしてCRMを成功させるためにはどんな戦略を立案すれば良いのかについてお話ししてきました。第1回ではCRMの成功の定義について触れ、第2回 CRM導入はなぜ失敗するのか」で、失敗するCRMプロジェクトには「ビジョン」と「プラン」が欠如している、と述べ、第3回ではプロジェクト成功の鍵となる「ビジョン」と「プラン」の立案アプローチについて書きました。

ここで書いたビジョンやプランの作成手順は、決して目新しいものではないかもしれません。しかしながらプロジェクトの初期にしっかりとしたビジョンやプランを作成し、関係者に繰り返しコミュニケーションされているケースは意外と多くありません。重要性が過小評価されたり、スケジュールのプレッシャーに負けたりして省略されてしまうのです。予想外の出来事が起こらないプロジェクトなどありません。スコープが変わる、予算が縮小される、メンバーに大きな異動が発生する、そうした出来事にどう対応すべきかの指針となるビジョンやプランがプロジェクトにあるかないかは、プロジェクトの成功失敗に大きなインパクトを持ちます。

また、現実的には個々の企業が置かれている外部環境や内部状況に応じてアプローチはカスタマイズする必要があります。「今CRMを持っているのだが、ちゃんと活用できているか自信がない。」「これからCRMの導入を考えているが、どこから着手したら良いかわからない。」とお悩みがありましたら、ぜひアピリオにご相談ください。豊富なプロジェクト経験に基づいてご支援いたします。


■ CRMを成功に導くために(全3回)シリーズは下記のリンクからご覧いただけます。
  第1回 CRMの成功までの4ステップ
  第2回 CRM導入はなぜ失敗するのか
  第3回 CRMを成功に導く戦略立案


アピリオは、ワーカーとカスタマーの両方をハッピーにするためにお客様に役立つリソースを提供したいと思っています。そのためのブログ、動画などをアピリオのリソースハブにまとめてあります。当社の新しい開発、製品、顧客事例についてはリソースハブをご覧ください。また、これからロードマップを作成したいとお考えのお客様には、クラウドの世界に踏み込むにあたって役立つソリューションをご提供できます。こちらからお問い合わせください。

 

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CRMを成功に導くために(全3回)| 第2回 CRM導入はなぜ失敗するのか

CRMを成功に導くためにシリーズを全3回でご紹介します。今回は、第2回「なぜCRM導入がしばしば失敗するのか、どうして財務的な成功が実現しないのか」についてご紹介します。

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