本ブログは TERESA TRAUB が寄稿した記事を抄訳したものです。
原文「What Digital Transformation Means for Higher Education in 2019」はこちらからご覧いただけます。
「デジタル変革」はただの流行語なのでしょうか
テクノロジーなのでしょうか。考え方、一連のツール、それとも、プロセスなのでしょうか。
「デジタル変革」は今日のビジネスを取り巻く流行語になっています。多くの定義があり、意味も人によって異なります。この言葉の意味について一致した意見がないにもかかわらず、デジタル変革には衰える気配はありません。既に普及しており、高等教育を始め、多くの業界に影響を与えています。
高等教育になぜデジタル変革が必要か
学生は、日々の生活でしてきたような特定のタイプのエクスペリエンスを期待して、高等教育機関に入学して来ます。教育機関が自分のことを理解しており、導いてくれ、しかるべき人間関係を築いてくれ、絶えず楽しませてくれるものと思っています。
このような期待に応える(さらにそれを上回る)ことは、生徒のエクスペリエンスに、そしてひいては高等教育機関の最終損益に直接影響を及ぼします。
デジタル変革は高等教育のあらゆる側面に浸透しています。たとえば、以下の側面です
- 外部構成員 ― (学生、卒業生)から内部構成員(教員、職員、経営陣)まで
- 学習 ― デジタルコンテンツ、パーソナライズされた学習、インタラクティブクラスルーム、インストラクションデザイン
- エンゲージメント ― アカデミックサポートとその提供の仕方
- 対話をサポートするスタッフ配置モデル
- デジタル学習 ― インストラクション、評価学習教材、パーソナライズされた学習
- 個別指導 ― チャットボット
- 学生向けサービス ― アドバイスサポート、学生評価、アウトリーチ/アラート、履修登録、就職支援
- クラスルームの拡大 ― 任意のデバイス(モバイル対応)でどこからでも常時アクセス
- 利用可能性の向上 ― 必要な人に高等教育の機会を提供
高等教育にとってのデジタル変革の本当の意味
デジタル変革は単なるアイデアにとどまりません。物事のやり方を変える能力と、市場の変化に適応して内部および外部の構成員のニーズや期待の変化に対応できる知性と能力を身に付けることなのです。
高等教育のデジタル変革はなぜ難しいのでしょうか
- 一元化されず縦割りで分断された従来のシステムや部門に縛られて身動きできない状況にある高等教育機関がたくさんあります。
- 縦割り的な物の考え方を打ち破るのは容易ではありません。人を結集しコラボレーションを促進することが鍵ですが、これはたやすいことではありません。
- 変化には懸念が伴います。(他のあらゆる組織の場合と同様に)高等教育に携わる従業員も、決まった方法で仕事をすることに慣れています。
- 通常、階層構造の組織ほど意思決定が遅くなります。
- 技術的成熟度とテクノロジーに対するユーザー側の準備が不十分です。
高等教育に対するデジタル変革の効用(と要件):
- 経営陣の理解と支持を得る
- 基盤を築く ― デジタル変革を最大限に活用するには強固な基盤が必要です
- 内部および外部構成員のエクスペリエンス全体を理解する ― 現状と望ましい姿、およびそれを実現するためのロードマップの策定
どう始めるか:
まず、全体的な戦略を策定しますが、これは、単独ではなく関係者と共同で行ってください。戦略的決定は1つの部門だけに任せず、コラボレーションの文化を促進し育むように努めます。立ち上げ時は少人数のグループで始めてもかまいませんが、展開の一環としてすべてのグループを巻き込みながら作業を進めてください。
戦略にはデータ戦略も含まれます
データを利用した場合、デジタル変革の最大の効果を実現するうえで役に立つ重要な変革要因になり得ます。
データを戦略に統合するには、以下が必要です。
- データソースに関する情報
- 収集するデータに関する情報
- 追跡するデータとなぜ追跡するのかに関する情報
- 測定しようとしている指標と過剰データのフィルタリング方法に関する情報
- コンプライアンス規定を順守するためのデータガバナンスの整備
定着化の必要性を過小評価しないでください。定着化を適切に行えば、文化の変化につながります。ただし、適切なスキルを必ず持っていることと、デジタル変革が多数のステップから成る取り組みであることを確認することが重要です。
デジタル変革によって高等教育機関は以下が可能になります
- 部門、ビジネスモデル、サポートモデルをまたいで相互作用する高度マトリックス型組織の構築
- 教育機関のあらゆる側面にわたる予測的行動および自律的行動につながるデータ活用
デジタル変革を推進するリーダーが気にしていること
Navitas Venturesが最近実施した調査によれば、デジタル変革への期待として大学の理事たちが言及しているのは次の点です。学生のエクスペリエンスの向上と学生のニーズ変化への対応が、効果的なデジタル変革実現の2大成果とされました。¹
将来の展開
完全なデジタル変革を行うには、ビジネスとITのコラボレーションを可能にするデジタルプラットフォームだけでは不十分です。ビジネスをよりスマートに、より迅速に、より大規模に運営でき、かつ新しい商品やサービスを導入できるような新たなデジタルに基づく戦略を策定する必要があります。
だからこそ、高等教育機関は研究および基礎教育サービスのさらに先を視野に入れる必要があるのです。自らの視点を構成員の視点に合わせて広げたり転換したりする必要があります。関連性と競争力を保ち、将来の成長を見越した基盤を築くには、構成員中心の考え方に転換することが不可欠です。
次のステップ
高等教育分野におけるデジタル変革戦略の世界的リーダーであるアピリオは、成果を推進する方法の特定から、カスタマイズしたSalesforce導入ロードマップ提供まで、あらゆる段階で皆様のお役に立ちます。次の段階にシームレスに移行できるように支援いたします。
この心躍る分野での最新情報および傾向について詳しくは、アピリオの非営利団体/教育ハブを参照してください。
出典:
1 https://www.navitasventures.com/wp-content/uploads/2017/08/HE-Digital-Transformation-_Navitas_Ventures_-EN.pdf