プロマネの車窓から 4 〜 計画の勘所 〜

October 26, 2020 Koji Komatsu

こんにちは、アピリオの小松です。
前回のテーマ、Salesforce 導入プロジェクトのアプローチを検討する際の「観点」に続いて、今回は「計画」についてご紹介します。

まず最初に実施すること

通常、プロジェクトを実施する場合には契約が存在し、その内容が定義された提案書が存在します。そこに記載された内容に基づき、プロジェクト計画を「SOA(Scope, Objective, Approach)」に沿って定義するところからスタートします。
提案プロセスで本来はこの内容はきっちりと定義・合意されている必要があるのですが、その内容の精査も含め、プロジェクト実行主体者の観点から「何の目的のために(O)」「どのような範囲で(S)」「どのようなアプローチで(A)」を文書化し、プロジェクト実行期間中を通じて参照しながら関係者の共通認識を醸成していくことがとても重要です。

WBSは万能か?

前述のアプローチに記載されている(はずの)プロジェクト全体工程に基づき詳細のタスクに分解しながら実行可能な単位に落とし込んでいくことで、スケジュールを作成していく方法が一般的だと思います。
その際に、WBS(Work Breakdown Structure)を用いて詳細化するという手法がありますが、何でもかんでもこれが良いか?というと、私はそうは思いません。

WBS が機能するのは、マイルストーン達成までに必要なタスクが実行前に「ある程度の精度で想定できる」ケースに限られると思います。過去に経験のある領域の開発工程等、一定の段取りを踏んでいくことでゴールにたどり着ける、という勝算があるかどうかということです。
一方、要件定義工程等で実現性検証のための POC(Proof of Concept)を実施するようなケースで、いくつかのステップを踏んだ上で、次のタスクを明確にし、その積み上げでゴールに向かっていくような場合に、WBS で最初から詳細化して進めようとすると無理がある場合もあります。WBS も1つのツールに過ぎませんので、実施するタスクの特性に合わせて、適した方法でスケジュールの作成と管理を実施していくことが重要です。

妥当性の検証

各タスクの詳細スケジュールを作成する場合に、実施する領域のリーダーや知見保有者に詳細の分解作業を実施してもらい、全体スケジュールとのマージを実施していくこともあると思います。過去に経験のあるテーマで、計画策定者がスケジュール作成を十分に可能なケースは問題にはならないかもしれませんが、PM としても「このタスクはこのくらいの期間と工数でできるはず」という「見込み」を自分なりの見解に基づいて持っておき、それとの解離を検証し、ギャップがある場合にはその原因を明確にして修正する必要があります。
その工程を繰り返していくことで、PM としての計画精度向上につながりますので、メンバー任せにせず、そのエクササイズを必ず実施しましょう。

アサイン計画との整合性

作成したスケジュールが、その通りに進められるのか? これも様々な要素が関連します。
実際にアサインされるメンバーのスキルセットとスケジュール作成時の想定レベルとのギャップが考えられます。提案時に想定していたメンバーが、予定変更で別のメンバーで対応することになり、結果として予定していたスケジュールでは厳しいということも発生する可能性はあります。実際の実行局面で、担当するメンバーで実行可能なのかどうかを見極め、必要に応じて調整(スケジュールの組み替えや増強等)を実施していきます。

また、よくあるケースとして、複数プロジェクトを兼務する形でメンバーがアサインされる場合に、予定していたスケジュール通りにタスクの完了できないことが発生します。「30%アサイン」といった場合、週に1.5日の稼働を見込むわけですが、その1.5日を実際にどのように割り当てていくのか、これは他のアサインの内容によって調整難易度が異なったりもしますので、予めスケジュールに極力余裕を設けておく等の考慮が必要です。

未知のテーマへの対峙

Salesforce も日々進化していく中で、新しいモジュールの導入を先陣を切って実施していく必要がある、ということも私自身も何度も経験があります。そのような未経験の領域を手掛けていく場合には、どのようにして計画を作成していけばよいでしょうか?
全く予想もできないテーマの場合(そんなに無いと思いますが)には、事前の検証フェーズや準備タスク等を計画して実施し、計画策定に必要なベンチマーク情報を取得するということが必要になりますが、多くの場合は、過去の経験の中から何らかの類似性要素を抽出して適用できるのではないでしょうか?

例えば、私自身の経験で例にあげると、Einstein Analytics の導入支援を初めて手掛けた時に、多少の予備知識はあったものの、実装経験のあるメンバーも全くいない状態でプロジェクトを開始しないといけなかったのですが、過去のBI系のプロジェクトでの経験則に基づき、踏むべき手順の抽出はできますし、主要なピースを埋めていくことで、100%では無いものの、計画の骨子は作成できるわけです。

100%の精度は無い、故に

言うまでもありませんが、計画は重要です。しかしながら100%の精度というのは現実には存在しませんし、その必要も無いと思います。
プロジェクト開始前に、その精度がどの程度なのかを把握し、変動要素としてのリスクを共有しておけば十分であり、間違っても100%になるまで開始できないという思考に陥らないようにしましょう。
 

プロマネの車窓からシリーズを寄稿しています。
次回、「プロマネの車窓から 5 〜 計画と現実のギャップ 〜」をおたのしみください。

プロマネの車窓から 1 〜 PMキャリアの魅力 〜
プロマネの車窓から 2 〜 Salesforce PM の魅力 〜
プロマネの車窓から 3 〜 Salesforce 導入アプローチの観点 〜
プロマネの車窓から 4 〜 計画の勘所 〜
プロマネの車窓から 5 〜 計画と現実のギャップ 〜
プロマネの車窓から 6 〜 プロジェクトの終わり方 〜


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著者について

Koji Komatsu

前職時代から通算で15年以上、CRMの領域でプロジェクトマネージャーを中心にプリセールス、ビジネスアーキテクト等、幅広い役割を担うことを信条として日々精進しております。Appirioに参画後もSales Cloud、Service Cloud、Field Service Lightning、Einstein AnalyticsやHeroku、時にはAWSやZuoraまで、様々なクラウドプラットフォームを手掛けて来ました。未知のプラットフォームを導入される場合は是非お声がけを!

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