ペルソナを用いてより良いエクスペリエンスを

March 15, 2019 Atsushi Iwasaki

以前のブログCRMを成功に導くために(全3回) | 最終回 CRMを成功に導く戦略立案で戦略立案には、スコープ定義、評価、最適化、展開の4ステップがある、とご紹介しました。書けば単純な4ステップのアプローチですが、検討をスムーズに進めるためにはところどころにコツがあります。今回は、「評価」「最適化」の際に便利な「ペルソナ」の活用についてお話しします。


ペルソナとは

「ペルソナ」という言葉、マーケティングに関わりのある方以外にはあまり耳慣れないかもしれません。ペルソナとは、一般的には人の表に現れる「人格」のことをさしますが、マーケティングの世界では、「製品やサービスのユーザーを想定したの仮想の人物像」のことをさします。アピリオではこのペルソナを、現状分析、要件定義をする上で意識される「仮想のユーザー」として活用しています。ある部署に在籍しているあるシステムのユーザーを、「複数の人が入り混じった顔の見えないグループ」として考えるのではなく、「人格を持った一人の人間」として考えるのです。顔の見える人格を作り上げるのですから決めるべきポイントは面倒臭いほどに細かく、たくさんあります。

  • 名前
  • 職位職責
  • 性別
  • 年代
  • 居住地
  • 勤続年数
  • 学歴職歴
  • デジタル機器利用の習熟度
  • デジタル機器の種類毎の利用割合

 

 

実際に過去に作成したペルソナを具体的としてご紹介します。ある精密機器メーカーにおけるプロジェクトで私たちはロバート・ジェイコブズという仮想の人物を創造しました。ロバートはイギリスに住む法人営業のマネージャーであり、勤続年数は5年から10年程度、年齢は50代前半の人物です。ここまでであれば、通常のターゲット層設定で想定する内容と変わりはないのですが、ペルソナを創造する場合は、さらに細かい情報にまで踏み込みます。ロバートは長時間勤務するワークスタイルを好み、家族やペットを大事にし、買い物、スキーなどのスポーツを楽しむ、とまで考えたのです。


ペルソナを利用するメリット

なぜ、わざわざここまで細かい定義をしてペルソナをつくるのか。それはひとえに「よりよいユーザーエクスペリエンス」のためです。ペルソナを活用する利点は大きく2つあります。

まず第一に、現状分析や要件定義をより詳細にすることができます。ペインと呼ばれるユーザーの困りごとや課題が、ペルソナを使うことによってより具体的に把握できるようになります。具体的に把握されたペインのみが具体的な解決策をもたらし、具体的なエクスペリエンスの向上に繋がるのです。あいまいに把握された問題点はあいまいな解決策しか生み出さず、結果としてエクスペリエンスの改善には繋がりません。

第二にペルソナの利用は現状分析の際に特定の個人に非難が向くのを防いでくれます。詳細に分析できるからといって、実在の人物でペルソナを作成してしまうと、その人物が語ってくれた課題や問題点を文句や悪口としてネガティブに捉える人がいないとも限りません。現状を詳細に分析しようとした結果、その人の職場でのエクスペリエンスが低下してしまっては本末転倒です。ペルソナは現行ユーザーを守るのにも役に立つのです。



ペルソナを用いた現状分析

では、このペルソナを用いてどのように現状を分析するのでしょうか。上の表をご覧ください。この表はジャーニーマップと呼ばれます。ペルソナを用いた分析はそのペルソナが業務プロセスを遂行してゆく流れ(この流れをジャーニーと呼びます)をなぞってゆくことで行います。どの業務ステージで、このペルソナはどんな行動を取っていて、どんなことを考えて判断を下しており、そのときにどんな手段で、誰と、どんなシステムを使ってコミュニケーションしているのか。1ステージずつ明らかにしてゆきます。そしてそのステージ毎にそのペルソナはHappyなのか、Unhappyなのかを波型のグラフに起こします。こうすることで、今回のシステム導入で何がユーザーエクスペリエンス向上の妨げとなっているのか、どこを改善しなくてはならないのかが一目瞭然となります。



改善すべき業務が明確になったら、 成熟度チェックでその業務をさらに深掘りしてゆきます。図にあるような8つのカテゴリで成熟度を評価してゆき、ユーザーのペインの原因になっているのは何なのかを追求してゆきます。ここまでくれば、かなり具体的に改善ポイントを特定し、エクスペリエンス向上に向けた施策を提案することができるようになります。

前述の精密機器メーカーの例では、ロバート・ジェイコブズのペルソナを作り、ロバートのジャーニーを分析してゆくことで、「ロバートは外回りの時間を増やしたいと考えているが、アプリケーション同士の連携が十分でないため、見積情報を他システムで作ったPDFから手で転記しており見積回答のミスが多い」「モバイル専用アプリが無いため、PC用のサイトを利用するが文字が細かくて読めない」「現在は上司への報告は毎日時間を決めて電話でコミュニケーションしているが、基本的にはシステムにある営業レポートとコメントで済ませたい」などの具体的なペインが発掘されました。

私たちの数多くのプロジェクト経験の中で、もっとも頻繁に聞く要求は「とにかく現行通りのシステムを作ってくれ」です。現行システムを使い慣れているユーザーにとって、短期間とはいえ、生産性を犠牲にして再度新しいシステムの使い方を学習しなくてはならないとなれば、このセリフも理解できなくはありません。しかしながら、そのようなアプローチでは現在の不便が「現状維持」の方針とともに次のシステムに持ち越されてしまい、変革を通したエクスペリエンスの向上は実現しません。ペルソナを用いて具体的に業務のペインを明らかにすることで、新システム導入の意義がぐっと現実味を帯びるようになるのです。



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