新しいシステムを定着化させるためのアプローチ

February 5, 2019 Atsushi Iwasaki


皆さんの周囲にこのようなお話はないでしょうか。


自社でCRMの導入が決まり、ギリギリの予算がつく。短期間のプレッシャーに追われながら計画を立て、ベンダを選定し、数々のトラブルに見舞われながらもなんとか全ての機能を要求通り完成させた。やった!プロジェクトは成功だ!だがリリース後数ヶ月たって、ふと周りを見回してみると何かがおかしい。ユーザの誰からも新CRMについて良いフィードバックが聞こえてこない。要求通りの機能を作ったはずなのに、どこで間違ったのだろうか。

「CRMを導入したけれど、充分に使いこなせていない。」「どこが悪いのかわからないが、CRMの期待したメリットが得られていない。」必要な機能は全部揃えてリリース前にきちんとトレーニングもやったはずなのに思ったような効果が出ていないことに悩む企業は少なくありません。システムが思い描いたような使われ方をし、ポジティブな効果が見えるようになるまでには、導入が成功するだけでは充分ではありません。CRMがユーザーに定着し、期待した効果を上げ始めるまでにはトレーニング以上のものが求められます。

新しいCRMなどのシステムがユーザーに受け入れられ、導入者が意図したように使われるためには戦略的で綿密に練られ、構造化された手法が必要です。なぜなら、第一に人間は多かれ少なかれ変化を嫌います。そうする方が考えることが少なくて楽だからです。変化に後ろ向きな人々に前向きになってもらうためにはテクニックが必要です。第二に、そのテクニックは根性・経験・勘だけでカバーできるものではありません。とるべき手法の選択や網羅的にやるべきことを押さえるためには学術的なアプローチが求められます。最後に、このアプローチがユーザーに伝えるメッセージは一貫していなくてはなりません。場当たり的に対策を講じてもユーザーの混乱を招くだけでしょう。一貫したメッセージを打ち出すには計画的で周到な準備が必要なのです。


では、システムがユーザーに定着するまでには、何が必要なのでしょうか。定着化に向けたアプローチについてご説明します。


1. マーケティングとコミュニケーション

新製品を発表するときに、マーケティングとコミュニケーションを実行しない企業はないでしょう。新システム導入が社内の出来事だからといって、何も変わりません。新システム導入にもマーケティングとコミュニケーションは必須です。

  • 導入によって直接的/間接的に影響を受ける利害関係者を洗い出し、当該関係者がどの程度影響を受けるか、当該関係者が新システム定着にどの程度影響力を持つのかを明らかにし分析する
  • 各利害関係者が導入に対して前向きなのか、後ろ向きなのか聞き取りを行う
  • 各利害関係者にコミュニケーションするときに伝える主なテーマと考慮すべき点を定義する
  • 誰に対していつどのメッセージをどんな方法で届けたいのかをマッピングする

新しいシステムの導入が、各ユーザにとってメリットがあり、ワクワクする変化が待っているものであるというメッセージが伝わることによって、ユーザーは本当にシステムのユーザーになります。


2. リーダーとサポーターの支援

ユーザーが変化に対して前向きであるためには、リーダーが変化に対して前向きでなければなりません。リーダーはユーザーの不安に対してアンテナを張り、定期/不定期のメッセージを通してユーザーの不安に寄り添いユーザーと一緒になって前に進む姿勢を表しましょう。同時に、トップダウン以外の支援チャネルも必要です。時にはユーザー同士の助け合いがもっとも強い推進力になります。アーリーアダプターと呼ばれる「新しいことに積極的なユーザー」を活用して、ユーザーに横からの支援を提供します。


3. 教育とトレーニング

定着化に必要なアプローチが「単なるトレーニング以上のもの」だからと言って、トレーニングの重要性は全く変わりません。具体的な受講者を想定して作成した実践的な業務シナリオに即してトレーニングを提供しましょう。トレーニングに参加できなかったユーザーや、後日再度復習をしたいユーザーのために、資料やトレーニングの録画、場合によってはEラーニングなどを提供します。プロジェクトの規模にもよりますが、可能な限り複数の手段を用意しておくことで、ユーザーの多様な学習スタイルの好みに合わせることができます。トレーニング後には、テストやアンケートを行うことで習熟度を測定することも忘れてはなりません。


4. 継続的な支援

定着化に向けてもっとも見過ごされがちなのが、継続的な支援です。導入時に手厚くトレーニングしても、その効果は短期的です。システムが長期的に使われるようにするためには、段階に応じた定着状況の測定と促進策が必要です。

  • そもそもシステムを使おうとしているか:ログインユーザ数、システム利用時間など
  • システムが正しく使われているか:案件の更新頻度、重複データの出現頻度など
  • システムが導入の意図通りの効果をもたらしているか:新旧のシステムで同じ業務をするのにかかった時間の比較など

継続的にトレーニングを提供することも大事ですが、システムの定着に向けて、目覚ましい成果をあげている、あるいは絶え間ない努力をしているユーザーを表彰することも良い方法です。会社がしっかりとユーザーを見ている、というメッセージがシステムの定着を加速させるからです。


どんなに素晴らしいツールを用意しても、それが活用されなければ、何も効果は生まれません。システム導入から期待される成果のかなりの部分はそのシステムを活用するユーザーに依存します。プロジェクトから期待できる成果は、新しいシステムがどれだけ早くユーザーに定着するかによるのです。定着に関する「人」の側面に前もって対処しておかなければ、プロジェクトから得られるはずの成果が重大なリスクにさらされ、追加のコストが生じるおそれがあります。定着化はシステムの成功において導入の成功と同じくらい重要な要素なのです。

システムの定着化に向けた、より具体的なアプローチの内容をお知りになりたい場合はぜひアピリオにご相談ください。豊富なプロジェクト経験に基づいてご支援いたします。



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