ソフトウェアベンダーが専門知識・技術を偽るとき

March 27, 2019 Atsushi Iwasaki

本ブログは ANDY ANGUELO が寄稿した記事を抄訳したものです。
原文「When Software Vendors Misrepresent their Expertise」はこちらからご覧いただけます。

 

「若い頃は、テレビを見て陰謀があるのではないかと感じる。テレビ局のせいで、私たちは愚か者になったのではないかと。しかし、少し年を重ねると、それは間違いだと気づく。テレビ局はビジネスであり、人々が求めるものを与えてくれるのだとね。」

スティーブ・ジョブズ

 

ソフトウェアベンダーは、これまで無料サービスで企業に支援を提供してきました。これは、すばらしいことなのでしょうか。個人としては、無料で物をもらうのは嬉しいですし、サービスや製品を無料で入手したら、まるで宝くじに当たったかのように感じるかもしれません。おそらく、失うものは何もないのだから、もらったものはありがたく頂戴しておけばよいと思うでしょう。しかし、実際には「ただ飯」のようなものはないのです。これはビジネスにも当てはまります。


ビジネスの世界には、「ただ」のものなどないのです。ソフトウェアベンダーが何かを「無料」で提供してきたら、その行為の裏に別の真意が隠れていると思って間違いありません。トライアル期間中に無料の製品を組織に根付かせるというのが、ソフトウェア会社がよく用いる戦術の1つです。トライアル期間中に顧客がその製品を頼りにするようになることを望んでいるのです。これは、製品を購入前に試す良い手段ではありますが、顧客の環境への導入方法によっては、役に立つ場合もあれば、倫理に反した行為につながる場合もあります。トライアル製品が解決に役立つ問題は本当にあるのでしょうか、それとも、これまで問題はなかったのに、ソリューションが新しく問題を作り出そうとしているだけなのでしょうか。


ある企業が別の企業に、合法的に投資して、「事業を成功させるための投資」であることを明示したり、ビジネス上の信頼関係の構築に役立てる場合もあるでしょう。これらは、正当と認められるケースです。そうでない状況では、企業が一線を越えて、非倫理的行為に踏み出してしまう場合もあります。残念ながら、これは、多くのビジネスソフトウェアベンダーで現在起こっていることなのです。


ソフトウェア会社の真の専門知識・技術を見抜く

ソフトウェア会社は、顧客のプロセスおよびワークフローの向上とデータ管理作業の改善を主な目的とするコンピューターベースのツールを開発する事業を営んでいます。これらの会社は、調査、フォーカスグループ、試行錯誤に相当な時間と資金を費やして、ビジネスに付加価値をもたらすソフトウェア設計および機能を最終的に構築します。これらの活動は、すべて必要なものであり、優れた製品を生み出している会社の証でもあります。このような努力の結果、ベンダーの従業員がビジネスまたは特定の業界の専門家になることは想像に難くないでしょう。


つまるところ、これらのソフトウェア会社は、ビジネスの有効性を高めるソフトウェアをまさに生み出してきたわけですから、真のエキスパートに違いありません。ただし、自社のソフトウェア製品の最適な使用方法を知っている(また、それを間違いなく実践している)からと言って、これらの会社が特定の分野または業界の専門知識・技術を実際に持っているとは限りません。


病院を設計する建築家を例に、このことを考えてみましょう。この建築家は、病院の隅々まで把握していて、それぞれの場所の機能と存在理由をとうとうと語ることができるでしょう。場合によっては、それらの機能の使い方まで提言できるかもしれません。しかし、病院を設計したからと言って、医療行為を行うことができるでしょうか。いかに想像をたくましくしてみても、それは無理です。


では、話を一歩進めて、病院を設計した建築事務所が医師を雇い始めたらどうなるかを考えてみましょう。そのような建築事務所から受ける医療に信頼感はありますか。建築事務所は、医療サービスを管理および提供するのにふさわしい組織でしょうか。これは誰にでも受け入れられるシナリオではなさそうですが、この例えは、実際にはエキスパートでない分野でエキスパートのふりをしているソフトウェア会社があることを説明するうえで役に立つでしょう。


無料製品はメリットよりデメリットの方が多いのか

ソフトウェア会社が優れたソフトウェアの開発を得意としているからと言って、特定の分野や業界におけるエキスパートの資格があるわけではありません。このような会社は、さまざまな製品のライセンスを販売することをなりわいとしています。顧客に購入してもらうソフトウェアの機能とライセンスが増えれば増えるほど、ソフトウェア会社はお金が儲かるのです。


ここで疑問が生じます。ソフトウェア会社が顧客のビジネスに根付かせる製品、機能、ライセンスを増やすことを目的としたサービスを提供したら、それは倫理にかなっているでしょうか。そのような無料サービスは本当に顧客のビジネスに役立っているのでしょうか、それとも、メリットよりデメリットの方が多いのでしょうか。これを簡単に見極めるには、ベンダーから提示されているものを評価します。ベンダーが提供しようとしているのは、製品の使用方法に関するトレーニングやガイドラインですか。もしそうなら、ベンダーのサービスは役に立つ可能性があり、ベンダーの専門分野の範囲内に問題なく収まります。これに対して、ビジネスプロセスコンサルティングや経営のベストプラクティスに関するアドバイスを提案している場合、ベンダーは専門分野から逸脱しています。


ソフトウェア製品ラインの成功を根拠に特定の業界や分野のエキスパートであると名乗るようなら、おそらく、きわめて憂慮すべき状況でしょう。真の専門知識・技術は、教育、実務、および特定の分野や業界での成功と失敗に裏打ちされた長年にわたる実体験から生まれます。特定の分野の専門家であれば、その専門知識・技術の獲得に必要な時間と労力がわかります。まっとうなビジネステクノロジーサービス会社なら、多くのソフトウェア製品、業界、ビジネス機能にまたがる深い知識と経験を備えた人を雇います。


ビジネスITのニーズに合う真のエキスパートを探す

今度ソフトウェア会社から無料サービスや何らかの形のITまたはビジネスコンサルティングを提案されたら、自問自答してみてください。この会社は本当にその資格があるのか、それとも、ブランドの魔力で提案が魅力的に見えているだけなのかと。建築家/病院の例えと同じように、ソフトウェア会社のとんでもない提案を受け入れることで、解決すべき問題に対する成果を台無しにするおそれがあります。


ここでアドバイスとして言えることは、ソフトウェアブランドの魅力に惑わされずに、ビジネスおよびITのニーズに応えることができる真のエキスパートを探すことです。特定の専門分野におけるしっかりした実績のある組織との関係構築に時間を割くように努めましょう。真のエキスパートは特定のトピックを深く掘り下げることができ、表面的な意見しか言わないゼネラリストではなく、幅広い知識を提供してくれる主題専門家の関与を促すことができます。自らの組織のニーズに関係のある過去の業績について、たとえばどのようなものがあるか尋ねてみてください。経験豊富なベンダーが自社の専門分野を拡大している場合は、過去の経験が現在の提案内容にどう関連するかを把握するよう努めてください。

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